あらすじ
女優ニッキーは、新作映画の主演に決まる。
ところが撮影が進むにつれ、彼女は役柄と現実の境目を失っていき、映画の物語と私生活、さらに別の時間や場所の断片が絡み合いながら、悪夢のように世界が変質していく。
感想
デヴィッド・リンチ監督の「インランド・エンパイア」を観ました。
これまで数多くの映画を観てきたつもりですが、ここまで輪郭がつかめない作品は初めてで、「最も意味が分からない」と感じた一本でした。
難解な作品や、独特な表現の映画にも触れてきたつもりです。
それでも今作は、突き抜けている。
最初から最後までリンチの世界が濃縮されています。
導入では、かろうじて物語の手がかりが置かれています。
それが進むほどに、意味をなさなくなっていくように感じられます。
意味を探ろうとすればするほどに、空を掴んでしまう。
そういう不安定さが、作品全体に漂っていました。
ただ、その混沌の中でも、目が離せない瞬間がいくつもあります。
演技。カメラワーク。光。闇。音。
どれも鋭く感覚に訴えてきます。
理解できるかどうかとは別に、身体が反応してしまう。
そんな場面が確かにあります。
観終えた直後は、「ここで終わるのか」と立ち尽くすような感触でした。
しかし、時間が経ってから思い返すと、ぼんやりとした像が少しずつ浮かび上がってくる。
その像に触れた瞬間、意味不明に思えた場面にも、別の重みが宿ってくるように感じました。
不思議なことに、味わいは後から増していきます。
すぐに言葉にできないのに、また観たくなる。
リンチ作品はもともと簡単ではありませんが、この一本は、その中でも特に深い場所へ連れていく作品だと思います。
おすすめ度 ★☆☆☆☆
個人的嗜好 ★★★★★
個人的にはズバリな作品ではありますが、完全に人を選ぶ作品です。
リンチ作品や難解な映画、独特な表現が好きな方にはぜひ御覧いただきたい。
とんでもなくツボに入りましたが、申し訳ないですが、おすすめはいたしません(笑)